田園交響曲




宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』では、ゴーシュは金星交響楽団で楽長に叱られながら第六交響曲の練習を続けます。


《引用》
「だめだ。まるでなっていない。このへんは曲の心臓なんだ。それがこんながさがさしたことで。諸君。演奏までもうあと十日しかないんだよ。音楽を専門にやっているぼくらがあの金沓鍛冶だの砂糖屋の丁稚なんかの寄り集りに負けてしまったら、いったい我々の面目はどうなるんだ。おいゴーシュ君。君には困るんだがなあ。表情ということがまるで出来てない。怒るも喜ぶも感情というものがさっぱり出ないんだ。それにどうしてもぴたっと外の楽器と合わないもなあ。いつでも君だけとけた靴のひもを引きずって、みんなのあとをついてあるくようなんだ、困るよ、しっかりしてくれないとねえ。光輝あるわが金星音楽団がきみ一人のために悪評をとるようなことでは、みんなへもまったく気の毒だからな。では今日は練習はここまで、休んで六時にはかっきりボックスへ入ってくれ給え。」



この物語を読んでいると、チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』を連想してしまいます。
ゴーシュは、三人の精霊である郭公、狸、鼠の深夜の訪問を受けて夜が明けるまで音楽と向かい合う時を過ごします。

深夜の訪問者たちの治療ー(それが実は音程の練習であり、リズムの練習でもある。)ーをしながら、いつしかのびやかな演奏というものを習得していく物語。


01_we.jpg
『セロ弾きのゴーシュ』オープロダクションHPより


この高畑勲の劇場版アニメは1982年制作だから、「パンダコパンダ」よりも後の作品になります。「パンダコパンダ」がほとんどその後のジブリになっているのに、『セロ弾きのゴーシュ』は以後のどの作品とも共通項がありません。


02_we.jpg
[パンダコパンダ]


この作品は地味だけど、非常に深い作品で、何度見返してても奥深いものがあります。

高畑勲のアニメでは第六交響曲はベートーベンの田園交響曲を使っていたので、てっきり宮沢賢治の本にも田園交響曲と出ていたのかと思っていたが、実際には第六交響曲としか書かれていない。

ではマーラーの第六でもブルックナーの第六でもいいのかもしれないのだが、高畑勲さんはここで間宮芳生という大作曲家に「田園」の演奏を依頼しているというのがすごい所です。


宮沢賢治自身も特にプフィッツナー(Hans Erich Pfitzner)の田園交響曲を愛聴していたと言われています。


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ということで、今日はベートーヴェンの第六交響曲を横浜みなとみらいホールに聞きに行ってまいります。

指揮はシルヴァン・カンブルラン
演奏は読売日本交響楽団

カンブルランさんというのは読響の常任です。

演目は
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」
ベートーヴェン「交響曲第6番『田園』」

ピアノは辻井 伸行

ベートーヴェン2つは重いですね。

第六交響曲の方は、軽量洒脱というか、速めでサラッとした演奏です。



この作品にはとても難しいところがあります。

特に第2楽章。
小鳥やカッコウの模倣演奏のある部分ですが、ここが模倣過ぎると本物の鳥の鳴き声を出した方が良いような気がするし、かといって鳴きマネ演奏だと小鳥にも劣るような気がするし。

芸術性を求めながら、カッコウよりもカッコウらしく。


ゴーシュがカッコウにドレミファを教わったところです。


《引用》
 ゴーシュは笑って
「音楽だと。おまえの歌は、かっこう、かっこうというだけじゃあないか。」
 するとかっこうが大へんまじめに
「ええ、それなんです。けれども難しいですからねえ。」と云いました。
「難しいもんか。おまえたちのはたくさん啼なくのがひどいだけで、なきようは何でもないじゃないか。」
「ところがそれがひどいんです。たとえばかっこうとこうなくのと、かっこうとこうなくのとでは聞いていてもよほどちがうでしょう。」
「ちがわないね。」
「ではあなたにはわからないんです。わたしらの仲間なら、かっこうと一万云えば一万みんなちがうんです。」
「勝手だよ。そんなにわかってるなら何もおれの処ところへ来なくてもいいではないか。」
「ところが私はドレミファを正確にやりたいんです。」





むかしむかし、最初に聞いたのはオイゲン・ヨッフムの指揮でアムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団でした。現在はロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)という名前です。
会場は日比谷公会堂でした。

ヨッフムの指揮がYOUTUBEに無かったので、フィッシャーの指揮の版で第1楽章の冒頭の5分45秒だけ。


[Beethoven 6 / Iván Fischer / RCO]





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