そのコンドは大丈夫?




横浜で旭化成建材の下請け社員がマンションの基礎くいの施行に際し、くい打ちデータを改ざんして岩盤まで杭が届いていないにもかかわらず、そのまま放置して出来上がったマンションが傾いてしまったという事件があった。

この話題は、またたく間に全国的な話題になってしまった感があり、手抜きマンションとか安いものには落とし穴とか散々な話になっているが、実はこのマンションは横浜でも有数の高級マンションである。
高級物件なだけに評価損を恐れて名前をあげられなくて余計に憶測を呼んでしまったらしい。

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ここで問題となっているのは、
①データの改ざんが悪事である。
②マンションが傾いたというのが瑕疵である。
③今は傾いていないが将来は傾くかもしれない。よって資産価値として不当に評価損が発生している。
の三点ではないかと思われる。

ここでマンションが傾いたという横浜市都筑区という場所を見てみる。この地区は坂の多い横浜市の中でも平坦な地区である。よって交通の便も良く、今後は物件としての資産価値は高騰するものと思われる。そこで安易に払い戻しをして物件を買い戻すという手法が取れるのかどうか疑問でもある。

しかし平坦であるという事は、鶴見川の氾濫原であり、鶴見川によって土砂が堆積してできた後背湿地に相当する場所になる。土地としては水田として使われていた土地であり、深田になっているのでずぶずぶのぬかるみである。

以前この地区の一戸建て住宅の建築の話を聞いたことがあるが、木造2階屋を作るのにパイル(杭)を数本打ちこんで基礎固めをしたがそれでもパイルが自重で沈降する。何m打っても収まらない。しかたがないので土壌凝固剤を注入してパイルを固定してやっと基礎が完了したようである。思いのほか基礎に費用がかかったようである。

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ここで視点を少し変えてみよう。
A)まず杭を打つことが必要かどうか。
B)杭を打てば建物は傾かないのか。

この地区のハザードマップから土壌の状態を推定してみる。

01-hanrangen.jpg
[ハザードマップ]

一番土壌のゆるいと思われる場所(灰色)は日産スタジアムのある北新横浜地区であるが、ここは遊水地として宅地使用は禁止されている。洪水が起こると二階の屋根まで完全に水没すると予想されるので避難場所にも指定されない。

次に土壌のゆるい地区(濃い青色)は、洪水時には4m高までの浸水が予想されている川向地区。住宅は平屋か2階屋がせいぜいで、一部低層階マンションが建っているがほとんどは工場とか自動車ディーラーの展示場になっている。
以前は不法建築なのかラブホテルが数軒あったが、今は撤去している。

さらに上流にいくと後背湿地の比較的乾いた場所(薄い青~黄緑)になり、住宅利用は可能であるがイケアとか大型モールが利用しているが、やはり土壌はゆるいと考えたほうがよい。

このような場所では(A)の杭打ちは垂直方向からの物理的な力に有効である。

しかし杭がしっかり岩盤まで到達しているから完璧というものでもない。
水平方向からの力に対しては、むしろ杭が長いほど脆弱になる。模式図では、軟弱地盤に建っている平屋建ての方がマンションよりは被害が軽微と思われる。

02-eqqa-q1-draw03.gif
[基礎杭の構造]

ちなみにこの地区の小中学校はすべて段丘上の高台にあり、地盤は固いのでパイルの長さが足りなくても建物が傾くようなことはないかもしれない。

段丘上面では杭が短くても有効である。杭打ちも必要ないのかもしれない。
杭が短いので、水平方向からの力にも有効である。
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それでは川のそばだからダメかというとそうでもない。図でみると都田小学校、折本小学校周辺は川のそばであっても高台になっているので土壌は安定している。

都田西小学校の南、都田小学校の東には急斜面があるのでここが氾濫原の終端の崖線と思われる。

段丘構造の模式図を使って氾濫原と崖線と高台の関係をおさらいする。地層は濃茶色は河川の堆積により生じたシルト、薄いベージュは砂泥、ネズミ色が岩盤とする。段丘面では岩盤までの深さは10m、氾濫原では岩盤まで30mとする。

03-chisou002.jpg
[段丘の構造]

模式図にもあるように氾濫原では2階建、段丘上面ではマンションを配置している。


この地区の小中高など公共の建物はすべて高い山の上にある。城も山の上にある。そうすると昔からこの地区は山の上が生活すべき場所で、低地は捨ておかれる場所であった。



そうなると、くいの施工業者がルーズでパイルの長さが多少足りなくても、段丘面上では特に問題はなく、氾濫原ではマンションが傾くことがありうるということになる。

さてそうなると、本来は建てるべき場所ではないにマンションを建てた元請け建設会社の三井住友建設の問題にもなる。

いやいや三井住友建設としては軟弱土壌であることは把握した上で、十分なパイルの施工を立案したのであるから施工業者の問題であるとも言える。

ここに互いに責任転嫁するというしくみが生まれる。
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さて誰に問題があったのかということは置いておいて、大事な資産ですから失敗のないように家屋を購入したいものであるが。

それではどうやって安全な場所かどうかを見分けることができるかというと、まずは古地図に記載された旧地名を探すことが重要である。

このあたりの旧村名をみると「新羽村」「新井新田」「上猿山村」「池ノ辺」「鴨居村」とある。

04-kochiz3.jpg
[江戸時代の古地図:横浜市]

「新羽」というのは谷戸の形が羽のようなのでついた名前なので、丘陵の端っこ、崖線になります。

「猿山」というのは猿がいた山ともザレの山(崖崩れの山)とも解釈できるが、これも崖線でしょう。縁起が悪いというので猿の文字を取って新地名では「上山」に変わっている。

「新井新田」は山の上の荒地を開拓した場所なので現在では新井町に名前が変わってます。新田というのは山の上のことが多いが、吉田新田のように幕府の施策で内海を埋め立てて作ったものもある。

「池ノ辺」は文字通り池や沼のほとりなので低地湿地帯であり、現在は「池辺町」に変わっている。

「鴨居」というのは鴨がよくいた低地湿地とも、神のいる神社があったとも解釈できるので難しいが、このあたりの地形からみると新羽町・新井町・上山町が段丘の上、池辺町と鴨居町が低地と解釈する方が妥当である。

これらの情報から、この地区の原地形がだいたい想像できると思います。

段丘の上面ほど安全性が高いが、交通の便は悪いので地価は安いことが多い。氾濫原は水害などを受けやすく地盤沈下も起こりやすいが、交通の便は良いので地価は高騰しやすい。
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バンコクなんぞは、チャオプラヤーデルタの上にあるので、どこもずぶずぶの湿地帯で、杭どころか基礎を掘っている段階で水が浮き出るような状態です。あのスワンナプームですら、元は「毒蛇の住む湿地」という名前の場所だったので、もはや地盤沈下さえもデフォルト。
杭が短いなんて初めからよくある話だと片付けられそう。杭どころか、屋上の上に別の階を貼りたすような建物が横行しているくらいだから、鉄筋が通っているかどうかもあやしい。
まぁ地震がないから良しとしましょう。


JIMMY

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