空母「隼鷹」は沈まず(2)

(2013/8/1)


前回のつづきです。


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(写真09)[深海巡航探査機「うらしま」]

「うらしま」は自律型無人深海巡航探査艇です。つまりこれもロボットです。従来の無人深海巡航探査艇は母船とケーブルでつないでいましたが、それでは行動範囲に制約が生じるので自分自身で海底地形を判断しながら潜航する探査艇の必要が出てきました。

現在、深度3500m、航続距離300kmまで記録を伸ばしています。課題は深海におけるバッテリーの問題です。
「うらしま」は、リチウムイオン電池と燃料電池を使いますが、リチウムイオン電池は深度100kmが限界です。

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(写真10)[耐圧容器に入った燃料電池]

そこで燃料電池の出番ですが、地上での運用と異なり、水素も酸素も無いのでそれを持ち込む必要があります。

08-反応式
(図-08)

燃料極側での電子ドナーは、メタルハイドレイド(水素吸蔵合金)を使い、加熱してH2を出します。これを白金触媒上で H2→ 2H+ + 2e- に分けます。セパレータはイオン交換膜を使います。酸素極側では純粋酸素を用いて、 1/2 O2 + 2H+ + 2e- → H2O の反応後の H2O を船外に放出できない(放出すると重量が減り、浮いてしまう)という問題があります。

そこで 未反応のO2を循環系で再度反応に用いるとともに、発生したH2O を電池内に蓄えるという技術が必要になります。
「うらしま」の固体高分子形燃料電池システム(PEFC)では120V, 4kWの定格出力が得られています。


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(図-11)[「うらしま」の構造]

「うらしま」の構造を見ると、動力源としての電池が艦内の大半を占領している事がわかります。燃料電池の不具合-例えば、酸素の流出などが発生するとたちまち艦はバランスを失い航行不能に陥ります。

今後はメタンハイドレート探査などでさらに出番が増えてきますので、最新のロボット技術と組み合わせてマニピュレータの取り付けなどが考えられています。

「うらしま」は、2006年のロボット大賞の優秀賞に選ばれました。


      ◇


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(写真12)[地球深部探査船「ちきゅう」]

「しんかい6500」「うらしま」は海底地表の探査用ですが、「ちきゅう」は潜水はせずに船から長いドリルパイプを降ろして海底を掘り進み、コアを採取します。

この時、従来の削岩船で行っていたライザーレスという方法では短期間に多数の穴を掘れるという利点もありますが、掘った穴がすぐに崩れてしまい、探査がうまくいかない、計測器を降ろしても埋もれてしまうという欠点があります。

そこで「ちきゅう」ではライザー掘削システムを導入し、ライザーパイプの中にドリルパイプを入れ、パイプの間に掘削液を流して掘り進み、掘りクズを掘削液で回収しています。この方法だと掘削液が穴を補修し固めているので計測器を投下しやすく、また最深度まで掘り進む事が出来ます。

ここは中国のガス探査艇のように無暗に掘るのではなく、「うらしま」や他の無人探査艇を使い、海底地形の調査、深海泥の調査からポイントを決めて掘るのがいいでしょう。

        ※※※※

「ちきゅう」は2011年3月11日には八戸港に係留中で中居林小学校の生徒48名が見学中でした。「ちきゅう」には8mを超す大津波が押し寄せるのですが、ここで船を捨てて丘に逃げるのか、船を離岸して安全を図るのか咄嗟の判断が要求されました。離岸するにも船は係留索を外すのに誰か港に残らねばならない、その人は確実に死ぬ。船はこの大津波に果たして耐えきるのだろうか。


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(図-13)[大津波の「ちきゅう」の八戸港内での回避行動①~⑬]

この時、恩田裕治船長の取った行動は、迷わず全員守り、世界に必要な「ちきゅう」も守るという思い切った策でした。
全員乗船させ、係留索はめいっぱい伸ばし最後に細くなったところで切断するというものです。間違うと船はひっくり返るでしょう。しかし、大津波の到達はあまりにも速く、「ちきゅう」は大津波に飲み込まれ、船尾は岸壁にぶつかります。更に引き潮の大津波の第二第三波は海と陸から押し寄せて港内は大渦に巻かれます。
その中を「ちきゅう」はコマのように錐もみしながらも操舵技術で切り抜け、1人の怪我人も遭難者も出すことなく全員を無事救助し、船の損失を軽微に抑える事が出来たのです。


・・・「助かるとか助からないとかじゃない、『絶対、助けるから』」・・・


もし、どこかで逡巡があれば、恐らくは不幸な結果が待っていたかもしれません。最後まで船を信じきることのできる信頼は、空母「隼鷹」から脈々と続いているのでしょう。

大津波から逃れた「ちきゅう」の最初の仕事は東北地方太平洋沖地震のメカニズム調査と八戸沖の石炭層調査でした。

今日は「ちきゅう」は新潟沖の上越海丘の水深1100m地点で海底より2700m(船からは3800m)を石油・ガス田探査で削岩中。日本で一番忙しい船でしょう。


JIMMY

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